【CTO Tech Blog】Bitcoinの支払いURIスキームをアップデートするBIP-321
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Bitcoinで支払先の情報を記述するURIスキームとしては、古くからBIP-21が使用されてきた↓
techmedia-think.hatenablog.com
ただ、BIP-21はアドレス仕様として正式にサポートしているのがBase58checkエンコーディング(P2PKH、P2SH)のみであったり*1、新しい支払い方法に対するクエリパラメーターを標準化する要望も出てきたため、以下をサポートする形でBIP-21を改変したものがBIP-321。
- アドレスのエンコーディングに
bech32
、bech32m
をサポート - BOLT11インボイス、BOLT12オファー、サイレントペイメント、プライベートペイメント用のクエリパラメーターを定義
- 支払いの証明(Proof of Payment)を提供するオプション機能のサポート
https://github.com/bitcoin/bips/blob/master/bip-0321.mediawiki
BIP-321
BIP-321 URIをABNF記法で定義すると↓*2
bitcoinurn = "bitcoin:" [ bitcoinaddress ] [ "?" bitcoinparams ] bitcoinaddress = *base58 / *bech32 / *bech32m bitcoinparams = bitcoinparam [ "&" bitcoinparams ] bitcoinparam = [ amountparam / labelparam / messageparam / responseparam / otherparam / reqparam ] amountparam = "amount=" *digit [ "." *digit ] labelparam = "label=" *qchar messageparam = "message=" *qchar responseparam = [ "req-" ] "pop=" *qchar otherparam = qchar *qchar [ "=" *qchar ] reqparam = "req-" qchar *qchar [ "=" *qchar ]
BIP-21との定義上の違いは、
bitcoinaddress
で新たにbech32
とbech32m
をサポートresponseparam
の追加(支払い証明に使用)
の2点。
クエリパラメーターの値とBitcoinアドレスフィールドは場合によって大文字/小文字が区別される可能性があるけど、他の部分は基本的に大文字/小文字を区別しない。
クエリキー
以下のクエリパラメーターのキーは、支払手段に関係なく任意のURIに適用可能なキーとして定義されている(最後のpop
は今回新たに定義)。
label
:受信者のラベルmessage
:トランザクションの説明をするメッセージpop
:支払いを開始したアプリに支払いが完了したことの証明を提供するためにウォレットが返すURI
支払金額のキーamount
に対応する値は、BIP-21と同様BTC建ての金額を設定(後方互換的に単位は変えなかったのかな?)。
これらのパラメーターは基本的にURI内に1つだけ設定可能。
また、支払い方法によって以下のキーが定義されている:
これらのパラメーターは、URI内に複数設定することが可能。
アドレス部分は空にすることもできるし、アドレスと両方指定してBOLT11インボイスで支払いができない場合のフォールバック手段としてオンチェーンアドレスでの支払いも許可するといった使い方も可能。また、たとえばBOLT12オファーとサイレントペイメントアドレスを両方指定してどちらかで支払うようにリクエストするといったことも可能。
また、BIP-21と同様req-
プレフィックスがつくパラメーターは必須パラメーター。もしウォレットがそのパラメーターを解釈できない場合は無効なURIとして処理する必要がある。
URIの再利用
基本的にアドレスの再利用は避けるべきで、BIP-21でもURIの再利用は避けるべきとしている。BIP-321も同様だけど、アドレスを再利用しない再利用可能なURIについては再利用を認めるとしている。つまり、サイレントペイメントやBOLT12オファーを指定するURIについては、アドレスの再利用が行われないので、そのURIについては再利用してもいいと。
支払いの証明
支払いの証明(Proof of Payment)は実際に支払いが行われたことを証明するデータで、
- オンチェーン支払いであれば、支払いを行ったトランザクションデータ
- LN支払いであれば、ペイメントプリイメージ
で、それぞれ16進エンコードされる。上記以外の支払いスキームの場合は、独自のフォーマットを定義することになる。
BIP-321 URIでは、pop
パラメーターを含めることで、支払い完了後に支払いの証明を提供するためのURIを構築する機能をオプションで定義している。
pop
パラメーターで設定するのは任意のURIプレフィックスで、支払い完了後に支払いの証明データと共にURIを構築する。
たとえば、以下のURIの場合
bitcoin:175tWpb8K1S7NmH4Zx6rewF9WQrcZv245W?pop=initiatingapp%3a
pop
パラメーターをURLデコードすると、initiatingapp:
となるので、構築するURIは、
initiatingapp:onchain=HEXエンコードしたトランザクション
となる。上記のように支払先がURIの本体で指定されている場合は、キーonchain
を指定する。
以下のURIでライトニング支払いした場合は、
bitcoin:175tWpb8K1S7NmH4Zx6rewF9WQrcZv245W?lightning=lnbc420bogusinvoice&pop=app%3a%3f
構築するURIは、
app:?lightning=HEXエンコードしたペイメントプリイメージ
となる。
上記のURIを実行することで支払いの証明を提供できる。
ただ、支払人のIPなどの情報が受信者に公開されるのを防ぐため、http
、https
、file
、javascript
、mailto
およびWebブラウザで開けるスキームでないことを検証する必要がある。ウォレットが開けないスキームでかつ、pop
が必須パラメーターになっている場合(つまり、req-pop
になってる)、支払い自体を行ってはならない。
といったように、最近の支払い方法に合わせてURIの仕様を更新したのがBIP-321。
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